2025/05/17
中古日本語:カ行変格活用を理解する
古典文法で多くの人がつまずくポイントの一つ、カ行変格活用。なぜ「来(こ)」だけが特殊なのか、その覚え方と例文を解説します。
活用とは何か?
日本語の動詞や形容詞は、文の中でその形を変えます。これを「活用」と呼びます。現代日本語にも活用はありますが、中古日本語ではさらに多くの活用形があり、それぞれが細かな意味やニュアンスを持っていました。
カ行変格活用:たった一つ、しかし特別な動詞「来(く)」
中古日本語の活用の中で、「カ行変格活用」に属する動詞は、なんと**「来(く)」** たった一つだけです。これが、多くの学習者を混乱させる原因でもあります。「来」の活用の形は、他のどの動詞とも異なるため、特別に覚える必要があります。
例:**来(く)** の活用
- **未然形:** こ / こ (ず)
- **連用形:** き (たり)
- **終止形:** く (。)
- **連体形:** くる (とき)
- **已然形:** くれ (ども)
- **命令形:** こ / こよ (!)
「来(こ)」のように音が変化する独特の活用パターンが特徴です。
なぜ「変格」なのか?
「変格」とは、規則的な活用パターン(例えば四段活用など)に当てはまらない、変則的な活用をする、という意味です。たった一つの動詞のために一つの活用が設けられているのは、それだけ「来」という動詞が、当時の日本語の中で特別な位置を占めていた証拠かもしれません。
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